「カットアップ技法」をブラウザ上で手軽に再現できるツール「 カットアップメーカー 」 を公開したところですが、ふと「アルゴリズム的な文学技法は、まだまだデジタル実装と相性が良いものがあるのでは?」と思い立ち、リサーチを進めてみました。 そこで再発見したのが、実験文学集団「ウリポ」の代表的手法である「S+7法」であります。 ウリポとは、20世紀半ばのフランスでレーモン・クノーや数学者フランソワ・ル・リヨネらによって結成された文学グループで、数学的な制約や規則を文章作法に持ち込み、新たな文学的創造性を切り拓く試みを多数行ったそうです。その代表的な試みのの一つが、この「S+7法」であります。 ルールは至ってシンプル。「辞書を引き、文章中のすべての名詞を、その辞書で7つ後ろに載っている名詞に置き換える」というもの。 これを現代のウェブツールとして実装する場合、仕組みとしては以下のようなフローで構築できそうです。 入力されたテキストを形態素解析し、名詞のみを抽出 ベースとなる辞書インデックスを参照し、該当名詞から7語後ろのエントリを特定 元の名詞を置換して文章を再構成 課題になりそうなのは「参照する辞書データの選定」ですが、現代的な日本語辞書データや専門辞書を差し替えられる設計にすれば、生成される文章のナンセンスさや詩情がガラリと変わる面白いジェネレーターになりそうです。 現在取り組んでいる「 消えた伝説のX11宇宙戦「XShipWars」を発掘!20年前のコードをClaude Codeで現代に蘇らせる 」のプロジェクトが一段落したら、次はこの「S+7法」ツールの制作に着手してみようかと思います。 ちなみに今回のリサーチ中、アーティストの「 古川諒子 」さんの作品にも行き当たりました。「カットアップ」や「S+7法」などで自動生成・脱構築されたテキストからインスピレーションを得て、具象絵画を描き出すという非常に刺激的な試みをされています。言語のルールから生まれた偶然性が、ヴィジュアル表現へと変換される面白さ、もし東京などで個展が開かれる機会があれば、ぜひ実物を体感してみたいと思います。
悩めるエンジニアの日誌です。思いついたことをつらつらと綴ります。