以前書いた記事「 AIで「速く」なった今、私たちが失ったもの 」の中で、同世代のエンジニアによる印象深い言葉を紹介しました。 「私は遅れを取っているわけではない。前進しているのだ。新しいツールを活用し、かつてない速さで構築し、これらのツールを使って他者の作業を加速させている。数年前には夢にも思わなかった製品を生み出している。しかし同時に、今この『構築』が自分にとって何を意味するのかを模索している。」 そのとき、手探りで試行錯誤し、苦労して辿り着くプロセスそのものに宿っていた「創造の喜び」を、私たちはどう再定義すべきなのか。今、多くの開発者がこの大きな問いを突きつけられているのではないかと思いました。 そして、「 「How(どう作るか)」はAIが肩代わりする、だからこそ問われる「 Why(何を・誰のために・なぜ作るのか)」という動機 」で紹介したカットアップメーカーの開発、「 25年前の23万行コードを3日で蘇らせた話 - Claude Codeで挑むレガシー脱却と移植の全記録 」で紹介したしたXShipWarsのモダナイズに挑む中で、ひとつの確信を得ました。一行一行のコードと対話し、デバッグという名のパズルを解いていくあの独特の喜びは、確かにこれからの実務からは急速に姿を消していくでしょう。 そして痛感したのは、これからの開発者に求められる決定的な2つの要素です。 「Why(何を・誰のために・なぜ作るのか)」の純度 「How(どう作るか)」の実装をAIが担う時代だからこそ、プロジェクトの起点となる人間の動機や目的意識そのものが、プロダクトの価値を決定づけます。 AIの提案を見抜く「審美眼としての基礎知識」 Howを委ねるとしても、AIの提案の正否やアーキテクチャの妥当性をジャッジするのは人間です。そのためには、裏側の仕組みを理解する基礎力が欠かせません。 長年親しんできた「コードを書く手触り」が薄れることに、一抹の寂しさを覚えたのも事実です。しかし、これは喪失ではなく「開発者としてのステージが変わった」のだと捉え直しました。 浮いた時間を「なぜこれを作るのか」という本質的な問いに注ぎ込める。そして、AIに振り回されない審美眼を保つために、あえて日常の中で「コード一行一行と泥臭く対話する素振りの時間」を自分の意志で確保していく。 そう整理できたとき、この劇的...
「 音と操作を取り戻せ!Claude Codeで挑むXShipWarsのSDL2近代化【サウンド・入力編】 」をもって、XShipWarsのモダナイズプロジェクトも一段落したのであります。 その前の「 23万行の20年前コードが3日で動いた!Claude Codeで蘇るXShipWars【起動編】 」で、成功の要因について軽く触れましたが、その推進力の秘密と、やってみて見えてきたリアルな勘所をスライドにまとめてみました。 👉️ 25年前のゲームを3日で蘇らせた話 — XShipWars 移植事例 プロジェクトを通じて強く実感したのは、AIの圧倒的な調査・実装スピードを活かすためには、「AIの提案の是非を判断し、設計の舵を取る人間の基礎知識」が不可欠だということ、そしてとにかくAIに触れてみてそういったことを実感することが大事だなということです。 レガシー資産の刷新に関心のある方はぜひ一読ください。