自動車業界でソフトウェア開発の仕事をしていると、ISO 26262という機能安全の国際規格に必ず触れることになるのであります。機能安全とは、システムや装置が意図しない動作をした場合に、人や環境に対する危害を防ぐための安全対策を組み込む概念で、規格では機能安全を達成するために守るべきプロセスや分析手法、開発手法が決められています。現場開発者としてISO 26262には関わっては来ましたが、規格そのものを体系的に学ぶことがなかったので手にとってみたのが「システム技術に基づく安全設計ガイド」であります。
- 安全の基本
- 安全規格体系と概要
- リスクアセスメント
- 機械系安全規格からみた安全設計の基本
- 機能安全設計の基本 / IEC 61508
- 自動車の機能安全 / ISO 26262
- 生活支援ロボットの安全 / ISO 13482
- システム思考で考えるこれからの安全分析 / STAMP
- ソフトウェアエンジニアのための安全設計
目次は上記のとおり。安全の定義にはじまり、ISO 26262の基礎となるIEC 61508、そしてISO 26262の解説、さらに踏み込んだところでSTAMP/SPTAといった新しい分析手法やソフトウェア開発における重要な技術の解説で終わります。
個別手法などの詳細は別の書籍にゆずるとして、規格の概要や基本的な考え方が要領よく簡潔に体系付けて書かれているので分かりやすかったです。各章の終わりに参考文献が書かれているので詳しく知りたくなればそちらの文献を読めばよし。
規格そのものや背景にある安全の考え方を知ることにより、日頃の開発業務も一つ高い視座を持って取り組めるのではないかと。一読することをおすすめします。
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